Synbio, Bioengineering, Bioinfomatics関連の研究について書いたりするかもしれません。

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合成生物学論文メモ (Oct 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
9報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
RNA-seaとRibosome Profilingで論理回路の各パーツについて精密な定量化を行い、各パーツで生じるモデルとの相違を特徴として分別。(Bacteria: E.coli)
パーツの定量化についてはほぼ完成系では。
ペプチド付きのリポソームにプロテアーゼや阻害剤を封入し、添加し別のプロテアーゼやリパーゼによって封入したプロテアーゼを取り出して活性を制御する論理回路を実装。(Bacteria: E.coli)
リポソームを使った制御というのが面白い。E.coliで実装しているように内在性のプロテアーゼやリパーゼを使って制御が出来るので、特定の臓器へのドラッグデリバリーシステムなんかに応用出来そう。

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
  • A deep learning approach to programmable RNA switches
  • Authors: Nicolaas M. Angenent-Mari, Alexander S. Garruss, Luis R. Soenksen, George Church, James J. Collins
  • Journal: Nature Communications
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41467-020-18677-1
  • Institution: Harvard University, USA; MIT, USA
Toehold Switchの配列-機能データから機能(ON/OFF)活性を予測するモデルとして、CNN、LSTMから成るニューラルネットを提案し、スイッチのデザインの流れを確立。
BERTで出来そう。

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
mTurquoise2の励起エネルギーをAsLOV2の励起に利用するRET(resonance energy transfer)ベースのオプトジェネティックツールを開発。(Mammalian cells: Hippocampal and cortical neuron, HEK293T)
蛍光タンパクの蛍光量で足りるんだという驚き。

CRISPR/Cas

クリスパー系
  • A compact Cascade–Cas3 system for targeted genome engineering
  • Authors: Bálint Csörgő, Lina M. León, Ilea J. Chau-Ly, Alejandro Vasquez-Rifo, Joel D. Berry, Caroline Mahendra, Emily D. Crawford, Jennifer D. Lewis, Joseph Bondy-Denomy
  • Journal: Nature Methods
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41592-020-00980-w
  • Institution: UCSF, USA
Cas5,7,8複合体とCas3のヘリカーゼヌクレアーゼ活性を利用して、ゲノムの大規模な(7-424kbp)欠損を人為的かつ部位特異的に導入する技術を確立。

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
P.putidaにおいてリボスイッチベースのフッ化物バイオセンサー、フッ化物存在下で活性化する代謝経路をそれぞれ実装し、フッ素を含む糖である5'-fluoro-5'-adenosineの有機合成に成功。(cell-free, Bacteria: P.putida)
バイオセンサーから代謝合成経路の実装までまとめて一本で、すごいボリューム。
P.putidaゲノムにおいて生育に必要な最小遺伝子セットを同定し、非天然の合成経路を細胞生育と結びつける事に成功。 であるindigoidine合成。
最小遺伝子セットのアプローチを初めて知ったけれど、面白い事を考えるなあという感想。

合成生物学論文メモ (Sep 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
29報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
ピルビン酸反応性のTF(PdhR)とアンチセンスRNAを用いたRNA干渉によって、ピルビン酸産生量のON/OFFをそれぞれ独立に制御。これを用いて下流代謝経路(グルタミン酸)の合成量をコントール。(Bacteria: B.subtilis)
RNAiのモデリングまでがっつり加えてある。
インテグラーゼを用いたイベント記憶型の論理回路において、複数の細胞株に異なる遺伝子回路を保持させる事でよりモジュール化された論理回路構築が可能に。また、最大で5-inputまでの遺伝子回路の振り分けをin silicoでデザインし、wetの結果と合わせて最適化する方法を確立。(Bacteria: E.coli)
筆者らの以前の研究で基質結合コアとDNA結合部位のモジュール性が高いことが示唆された三種類の構造の似たの基質要求性リプレッサー(LacI: IPTG, FruR: fructose, RibR: D-ribrose)のアクティベーター変異ライブラリを作成するに当たって、リプレッサー→常時発現OFF活性の変異リプレッサー(super-repressor)→変異アクティベーターの順で変異を加えていく方法を開発。また、開発した変異アクティベーターの基質結合コアに対して別のDNA結合部位を添付する事で、ライブラリを拡張する事に成功。(Bacteria: E.coli)
基質結合コアとDNA結合部位のモジュール性の高いTF(バクテリアのTCSなど)で広く応用出来そう。
哺乳細胞の転写翻訳における細胞内資源競争がどのように影響し合っているのかを実験的&数理的に解明し、miRNAを用いた目的の遺伝子(Gene Of Interest)mRNAの翻訳抑制により、複数の遺伝子を回路に導入した場合の資源競争による発現量変化を緩和させる事に成功。(Mammalian cells: HEK293T, U2OS, HeLa)
一つ一つのステップが非常に丁寧で良い。
互いに直交性の高い二種類のQSシステム: traシステム(esaI => 3-oxo-C6-HSL => TraR)とlasシステム(lasI => 3-oxo-C12-HSL => LasR)を用いて、一度のinductionに対して二段階(GFPRFP)で定常状態に達する系(automatic delayed cascade)を開発。(Bacteria: E.coli)
  • Engineering and application of a biosensor with focused ligand specificity
  • Authors: D.D. Corte, H.L. van Beek, F. Syberg, M. Schallmey, F. Tobola, K.U. Cormann, C. Schlicker, P.T. Baumann, K. Krumbach, S. Sokolowsky, C.J. Morris, A. Grünberger, E. Hofmann, G.F. Schröder & J. Marienhagen
  • Journal: Nature Communications
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41467-020-18400-0
  • Institution: Forschungszentrum Jülich, Germany
L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-リシンと結合するTFであるLysGに対し、結晶構造から特定したアミノ酸結合部位の残基にsaturation mutagenesisをかけたものをFACSでスクリーニングし、L-アルギニン、L-ヒスチジニンとの結合特異性を保ちつつL-リシンとの結合性を失くした変異体を作成。(Bacteria: C. glutamicum)

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
Taqポリメラーゼに結合して抑制するアプタマー配列の両側に二種類のRNA配列をそれぞれ繋げた構造(CLTAS: Clamp-Like Triplex Aptamer Structure)を用いて、可逆的にTaqポリメラーゼの活性をスイッチングする機構を開発。伸長したRNAの内の片方は、ターゲットのRNA配列(mRNAなど)とのWatson-Click塩基対形成を行い、もう片方が更にHoogsten塩基対形成を行う事で構造を安定化し、アプタマーを活性化する。また、伸長したRNA配列に制限酵素認識部位を含ませる事で、可逆的にポリメラーゼ活性を制御。(in vitro)
ssDNAの論理式的なものを組み込めば制限酵素を使わなくてもON/OFF出来そう(?)
miRNAに青色光反応的に結合するPALタンパク質に対して、PALと結合するアプタマー部位と機能的miRNAとを融合させたRNAを作成。GFP発現コントロールの他、細胞内のcyclinB1, CDK1の発現量コントロールが微かに可能である事を実証。(Mammalian cells: HEK293T)
PAL自体も同二研究室から去年出ていたらしく、分野の広がる感じがして面白かった。

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
lacオペロンにおけるcIのプロモーターを、青色光反応性のYF1-FixJシステムによる制御プロモーターに置き換えることで、IPTGによる誘導と同レベルの制御を青色光による誘導で可能に。(Bacteria: E.coli)
暗条件でONになるようにしている辺り、YF1-FixJの光感度が高さが問題っぽい。
Cry2ベースのクラスター形成システムにおいて、Wntシグナル伝達不活性型のモチーフ(PPPAPモチーフ, 活性型はPPPS/TPモチーフ)を添加する事でクラスターの解離が遅くなる事を発見。(Mammalian cells: HEK293T, NIH3T3)
Wntシグナル伝達の相手との不活性な弱い相互作用クラスターを長持ちさせているという感じか?
PIF3/PhyBシステム、split-intein、split-T7RNAPの三つを組み合わせ、赤色光によってT7RNAPの機能を活性化させ、下流代謝酵素定量的にコントロール可能なレベルで発現させる事に成功。(Bacteria: E.coli)

Protein Engineering

タンパク質工学
Baker研がde novoで開発したLOCKERシステムを使って、二つのCRISPR-Casを協同してDNAに結合させる仕組み(Co-LOCKER: scRNAに結合するPCPにKEYをつないだもの(上流) + ComにCAGEをつないだもの(下流)、転写ON因子はOpened-CAGEの結合相手であるBcl2-VP64)を開発。(Yeasts: S.cerevisiae)
このスピードで実用化してるのえぐい。

CRISPR/Cas

クリスパー系
CRISPR-Cas12aのcrRNAの一部をDNAに変更する事でターゲットへの特異性を保ったまま塩基対形成に必要なエネルギーポテンシャルを変化させ、オフターゲット効果を抑える事に成功。
ターゲット配列の一塩基をRNAからDNAに変えるだけで特異性が4倍近くなっているサンプルもあり、DNAへの置換も考慮するとデザイン空間がかなり広がる。
gRNAの長さによって遺伝子編集、転写活性化、転写抑制の三種類の機能を同時に実現できるCas9-VPRを酵母で実装。(Yeasts: S.cerevisiae)

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
芳香族複素化合物を産生するための遺伝子群(ximBCDE, PcPT)を、副産物を抑制した株で発現させ、複数の代謝産物を合成することに成功。また、その一部をE.coliでも実装。(Bacteria: S.xiamenesis, E.coli)
微生物汚染が起きやすい環境(核酸の構成要素である窒素化合物、リン酸化合物が豊富)を必要とする工業的な発酵過程において、他の微生物が利用できないような化合物(窒素源としてformamide, リン酸源としてphosphite)に従属する株を開発。(Bacteria: B.subtilis)
微生物の代謝で広く使われるcartinineの検出のため、合成経路の中間産物であるcrotonobetaine反応性のTF(CaiF)を用いたバイオセンサーを開発。(Bacteria: E.coli)
データベースから選別したTrp代謝関連遺伝子、発現プロモーターから成るライブラリを作成し、ハイスループットにwetの実測データを取得した後、データを元にMLによる予測が可能である事を検証結果として示した。(Yeasts: S.cerevisiae)
学習させたMLのパラメータで別の代謝経路が作られればブレイクスルーになりそうだけど、代謝経路レベルの複雑度になると一つの代謝産物へのfittingは特異的過ぎる気もする。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
メチオニン要求性のL.lactis株をメチオニン誘導体のみを含む培地で生育し、メチオニン誘導体の非天然アミノ酸を生体細菌中に取り込んで利用させる事に成功。更に生体内で非天然アミノ酸(nisin)同士の化学結合や非天然アミノ酸残基における化学的蛍光標識を実装。(Bacteria: L.lactis)
メチオニン誘導体を利用させる手法に感心。
E.coliの細胞分裂に関わるFtsA-FtsZをリポソーム内で遺伝子からcell-free発現させる事で、リポソームの膜内側にリング状の繊維構造を構築し、リポソームの一部を突出させる事に成功。

Alternative Hosts / Strain Engineering

宿主や系統株の開発
CRISPR-Cas9によって目的の遺伝子をショウジョウバエに導入し、各世代において食品添加可能な化学因子(RU486)によって導入した遺伝子を取り除くようなリコンビナーゼ活性を確率的に発生させる事で、集団が世代を減るにつれて人為的に導入した遺伝子ドライブの効果を取り除いていく事が出来る機構を構築。(Insects: D.melanogaster)
実用的には食害の対象になっている作物に自然に含まれている化学因子が必要となってくる
RNA-seqおよびATAC-seqデータから、各遺伝子座における遺伝子の発現レベルとアクセシビリティ(クロマチン状態がヘテロかどうか)を解析する事で、非モデル生物における外来遺伝子の導入部位を決定するワークフローを提案。(Yeast: K.phaffii)
企業等でニッチな生物種を扱う必要のある場面での研究可能性を拡げる。
P.putida KT2440において細胞膜外構造物を遺伝的に取り除いた系統株を作成し、細胞の動きがより活発になる、外的刺激に対して感度が増す、などの形質的変化を報告。(Bacteria: P.putida KT2440)
物理的な特徴を変化させるユニークな研究。物理的な効果の他に、代謝やシグナル伝達にどのような変化が起こるのかも気になるところ。

Computational Biology

ある程度複雑度の高い遺伝子論理回路において、適切に回路を設計しているにも関わらず発生する発現量の急な変化(誤作動, glitching)の原因を、SBOLを用いて特定。IPTGなどの誘導因子が回路のON/OFF切り替えを行なっている中で、ON->OFFへの以降が徐々にしか行われない内在的な要因に依る。

Bioinformatics

SBOLを用いて多細胞システムを表現する方法に関する提案。

Biology in general

fluoresceinなどの蛍光化合物をコントロールに用いて、プレートリーダーやフローサイトメトリーのキャリブレーションを行うためのRパッケージをまとめた。
生体内でリコンビナントタンパクのビオチン化を自発的に行えるようなシステムを開発し、ビオチン化タンパク質のマイクロアレイを高速化。
RFP-ランダム配列(24nt)-(開始コドンなし)GFPの人工オペロンを用いてGFP強度でスクリーニングを行い、GFP強度の低いものにはランダム配列部分にターミネーター様の二次構造を取りやすい配列が見られ、これをRTS(Ribosome Translation Structure)と名付けた。また、適度な熱力学的な安定度を持ったRTS下流の遺伝子(GFP)の翻訳再開始(リボソームがmRNAから解離せずにオペロン下流の次の遺伝子の翻訳を開始する)を助けている可能性がある事を示した。(Bacteria: E.coli)
構成的なアプローチで発見をしていくのがとても面白い。結果も面白いので追加検証に期待。

合成生物学論文メモ (Aug 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
36報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
データベースや文献から同定したE.coliの遺伝子発現制御タンパク質86種に対してsaturation mutagenesisを行い、様々な生物学的機能を制御する110120種の変異体ライブラリを作成。ライブラリに対してwetのスクリーニングを行うことで、工業的に有用な化合物(イソプロパノールなど)への耐性を持つ変異体やそれらの化合物を高効率で合成する事のできる変異体を複数同定。(Bacteria: E.coli)
酵母における26種類の遺伝子制御カセット(コアプロモーター, エンハンサー, 5'UTR, 3'UTR)をバラバラに組み替えたライブラリ(~400,000)を作成し、発現量を定量&解析。定量データへのPCAから、コアプロモーターとエンハンサーについては、発現量への寄与のほとんどを一種類のPCで説明できることを示した。(Yeasts: S.cerevisiae)
大腸菌における細胞間シグナル因子とTFをデータベースから選別した後、大腸菌間で直交性の高い6種類のペア(因子/TF = DAPG/PhlF, Sal/NahR, IV/BajR, pC/RpaR, MMF/MmfR, NG/FdeR)をwetで決定し、その内1種類(pC/RpaR)を哺乳類細胞間および哺乳類細胞から大腸菌へのシグナル伝達に、2種類(DAPG/PhlF, Sal/NahR)を酵母大腸菌の間でのシグナル伝達に転用した。(Bacteria: E.coli, Yeasts: S.cerevisiae, Mammalian cells: HEK293T)
細胞種を跨いだ遺伝子発現誘導が可能に。遺伝子回路構築の次元が一段上がる。
dCas9を用いた3種のsgRNAの相互発現抑制系、また、dCas12を用いた3種のcrRNAの相互発現抑制系によるrepressilator回路。(Bacteria: E.coli)
ターゲットの遺伝子クラスター(bcmA - bcmG: antibiotic bicyclomycin)の機能(ファージ遺伝子上流に設置したρ依存ターミネーターの阻害)とファージ遺伝子の発現量を相関させる事で、phage-assited continuous evolution(PACE)を用いた遺伝子クラスターを丸ごと連続進化させる事に成功。(Bacteria: E.coli)
すごい、発現/翻訳制御関連のタンパクだったら何でも出来そう。
一定以上の温度によって発現するプロモーター(heat shock promoter)をヒトT細胞に導入し、集束超音波を介した非侵襲な熱供給による遺伝子発現誘導(サイトカイン分泌)をT細胞で実現。(Mammalian cells: Raji cells)

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
アミノ酸のC骨格を別の構造に置き換えた化合物をtRNA_fMetに添加する事で、N末端やC末端に化学修飾を受けたポリペプチドを合成。また、リボソーム変異体を用いてシクロブタン骨格を持つアミノ酸の伸長に低効率ながら成功。(in vitro)
人工セントラルドグマも見えてきた?

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
ヒト末梢血単核細胞(PMBCs)の溶解物(lysate)を用いて、cell-freeでのタンパク質発現を実証。(cell-free: mammalian)
青色光による発現制御が可能なYF1/FixJシステム(青色光->YF1のリン酸化->FixJのリン酸化->遺伝子発現)を用いて、cell-free発現系における時空間的なタンパク発現制御システムを構築。(cell-free: Bacterial)
pLight-mCherry(青色光でmCherryの発現ON)のコンストラクトだけ、YF1/FixJの量比と発現量変化のグラフが少し異なるのが興味深い。

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
抗体ナノボディのループ構造部分に青色光反応性の構造変化を起こすAsLOV2ドメインを挿入し、青色光反応性のタンパク質(mCherry-nanobody)結合/解離ツールを実装。(Mammalian cells: HEK293T, NIH3T3)
ナノボディで一般的に同様の機能を実装できれば広い種類のタンパク質をターゲットに相互作用のoptogenetic制御が可能に。
酵母の細胞内タンパク質を可視化する方法として、細胞壁酵素(mannose, β-1,3-glucase)で分解した後、細胞質の固定、界面活性剤による膜の部分的な破壊、抗体による蛍光標識を行う、というものを提案。フローサイトメトリーによってハイスループットな量的データを取る事に成功。(Yeasts: S.cerevisiae)
タンパク質相互作用の精密な定量化だったり、色々出来そう。
青色光誘導型の細胞間接着(VVD: 450nm)と赤色/近赤外光誘導型の細胞間接着(Cph1: 660nm ON, 720nm OFF)を両方発現させて、それぞれの光を使った直交性の高い細胞のソートとクラスター形成が可能に。(Bacteria: E.coli)
5月にpMagの凝集出してたばかりでもう一段階上が出ている
植物ホルモンstrigolactoneのバイオセンサーとして、strigolactoneに結合して下流のシグナルを活性化させるDAD2タンパクにcpGFPをドメイン挿入したものをデザイン。(Bacteria: E.coli, Yeasts: S.cerevisiae)
バイオフィルム中で電気を産生する細菌種において、発生した電流密度と遺伝子発現量を同時に測定可能な機器および系統を開発。(Bacteria: M.atlanticus)

Protein Engineering

タンパク質工学
OleAチオレーゼのファミリー73種とその基質候補から作成した1095の基質-酵素ペアにおける酵素活性をスクリーニングし、データを用いて生化学的、物理的特徴から酵素活性の予測を行うMLモデルを作成。(Bacteria: E.coli)
作成したMLモデルを使った未知の基質デザイン等の論文も出ることに期待。
オンラインデータベース(UniProt)の情報を元にTransformerニューラルネットを訓練し、タンパク質に分泌性能与える70-105残基のsignal peptideをデザインし、この結果をwet実験で実証。(Bacteria: B.subtilis)
こういう研究がしたい
de novoデザインされたE/K coiled-coilモチーフ(αヘリックス1のEとαヘリックス2のKとの間のイオン結合と、1と2の接合面に存在する疎水性残基の疎水性相互作用に基づく)を元に、Sのリン酸化によってcoiled-coilの存在量を量的に制御できるデザインを提案。(in vitro)
脱リン酸を含めて可逆的に制御する機構も探索出来そう。

CRISPR/Cas

クリスパー系
Cas9に2つのCys残基を導入し、Cas9の生化学的な修飾(小分子、ポリマー、ssODN)を可能に。付加したssODNに対して目的のタンパクをコードする別のssODNをハイブリダイゼーションさせる事で、Cas9によるDNA切断時にノックインする遺伝子を同一の複合体から提供する事が出来る。(Mammalian cells: U2OS, MDA-MB-231, HEK-293T, HDFn)
タンパク質の化学修飾、タグ付けたり蛍光付加したり程度かと思っていたけど、こんなことまで出来るとは驚き。
AsCas12a/Cpf1を用いた特異性の高いDSBと、ssODNテンプレートと内在性の修復機構を利用した切断後修復により、iPS細胞における一塩基修復をオフターゲット率0%(修復率は1.8-7.5%)で実装。(Mammalian cells: MEN2B-specific iPSCs, DEB-specific iPSCs)
  • Chromosome drives via CRISPR-Cas9 in yeast
  • Authors: H. Xu, M. Han, S. Zhou, B.-Z. Li, Y. Wu & Y.-J. Yuan
  • Journal: Nature Communications
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41467-020-18222-0
  • Institution: Tianjin University, China
酵母の染色体においてDSBをセントロメア付近に一箇所導入すると染色体そのものが分解を起こすことを発見し、この性質を用いて有性生殖における染色体の選択的遺伝機構を開発。(Yeasts: S.cerevisiae)
セントロメア付近一箇所で良いというのが興味深い。交配の代わりに人工的に染色体を導入出来たら染色体の入れ替えも出来そう。
CRISPRを用いてE.coliの染色体中に合計8箇所のcrRNAを同時に挿入することに成功。(Bacteria: E.coli)
流石にプラスミドの形質転換と比較すると効率はあまり高くないが、複数の遺伝子カセットを組み合わせるには良い

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
遺伝子発現を多段階で制御するRas/Erkシグナル経路における各シグナルのinput-ouput関係を明らかにするため、Ras/Erkシグナル経路の下流(FOSプロモーター)で転写され、リアルタイムで自身の転写速度およびタンパク質分解速度をイメージング出来るツール(SynIEG: synthetic immediate-early gene)を利用。(Mammalian cells: NIH3T3)
rapamycin産生酵母株におけるrapamycin産生効率を向上させるために、dCas9による代謝副産物の抑制回路を内在性のQS回路に組み込み、効果を実証。(Yeasts: S.ramapycinicus)
T細胞CAR(chimeric antigen receptor)の抗原特異性を向上させるため、二種類の受容体をRR/EE zipperで二量体化した機構や、RR/EE zipper部分をFKBP/FBRに置き換えて人工的な誘導シグナルが存在する時のみ受容体機能をONにする機構を開発。(Mammalian cells: Nalm6, Jurkat)
大腸菌代謝経路の中から、候補となる酵素遺伝子に対してロバストネス解析を行なって研究室内進化において安定過ぎる経路を改変。その後約220日の研究室内進化で、生育に必要な炭素源をメタノールのみに依存する大腸菌株を開発。(Bacteria: E.coli)
ロバストネス解析によってある程度定量的に経路設計が出来ていて画期的。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
リポソーム(LUV)の内側で、遺伝子にコードされた酵素群を用いてリン脂質を合成し、膜構造を再構成する事に成功。リン脂質膜の構成に必要な二種類の化合物(phosphatidylethanolamine, phosphatidylglycerol)を合成する酵素群を、二つの独立した発現系(T7, SP6)で発現させて化合物の量比を上手く調節。(Bacterial cell-free)

Computational Biology

遺伝子論理回路を組み合わせる場合のデザインを決定するアルゴリズムを開発。
wetで未実装にもかかわらずACSに載る価値があるのかは疑問。

Bioinformatics

創薬研究などで機械学習を用いたin silicoスクリーニングで選別された化合物にfalse positiveが多い原因は、候補となる化合物群の構造的性質が目的の化合物に近すぎてアルゴリズムが偏った訓練を受けている事にあると主張し、目的の化合物と性質は似ているが構造的に無関係の化合物からなる"おとり"の訓練データを生成する方法を提出し、妥当性を検証。
ネガティブサンプルの重要性を説く面白い着眼点。
ハイスループットなアプタマーの配列-アフィニティデータ(HT-SELEXデータ)から、配列情報及び立体構造を元にアフィニティの高いアプタマーをランク付けし、共通する配列モチーフを予測。
こういったスクリーニングをwetの研究室で実践出来れば。
ファージの進化的工学において、グアニンのアルキル化を介した変異誘導によるdirected evolution手法を開発し、熱耐性を獲得した変異体を作成。(bacteriophage)
C. lingdahliにおいて、デアミナーゼdCas9による一塩基編集ツール(デアミナーゼによるC=>U変異が内在性の修復機構によるU=>T置換を引き起こす)を導入。これを利用して、酢酸合成経路の副経路に関わる酵素をナンセンス変異によってノックアウトし、酢酸合成効率を向上。(Bacteria: C.lingdahli)

General Biology / Biotechnology

磁界に反応して細胞膜のCaイオンチャネルを開閉するツールとして開発された、ferritin(細胞質で常磁性の凝集体を形成)-TRVP1(磁界に反応したferritinとの相互作用を介して開閉する膜チャネルタンパク)システムの作用機序を解明。(Mammalian cells: HEK293T)
細菌(M.smegmatis)における少数派のリボソームサブユニットが、標準的なリボソームとは異なる翻訳傾向を持つことを発見し、そうした傾向が鉄イオン不足下での細胞の生存に有利に働くことを示した。(Bacteria: M.smegmatis)
tRNAのスプライシング過程でイントロンの切り出しに関わるTSEN(tRNA splicing enconuclease)複合体を精製し、in vitroで機能を保つ事に成功。(in vitro)

文献紹介のまとめページ

合成生物学論文メモ (Jul 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
27報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
TetRによるネガティブフィードバックとフィードフォワードループについて、温度依存性を実験的に測定後、数理モデルで結果を支持。
ここの温度依存性は分子生物学的には何に依存しているのか気になるところ。GFPの蛍光活性の問題か、反応物の衝突頻度の問題か、また別か。
orthogonalなHSL分子(C14-HSL, C4-HSL)を媒介にした相互抑制系(lacI-11, rbsR-L)を用いて、二種類の細胞の内、環境中に生存数の多い方が最終的に環境を埋め尽くすようなシステムを構築。(Bacteria: E.coli)
やり尽くされた感のある課題ではあるが、実験結果は例外的にクリア。
遺伝子回路では頻繁に使用されているTFリガンドであるaTcが、数十秒~数分の近紫外光(375nm)でほとんど分解される事を示し、光照射による短時間かつ正確な濃度操作&それに伴う遺伝子発現量操作が可能に。(Bacteria: E.coli)
広く使われていたシステムだけに誰も知らなかった事が驚き。

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
酵母におけるriboswitchを実現するため、真核生物の翻訳開始前複合体をmRNA上のヘアピン構造(MCPにより安定化)によって物理的に停止させ、リボソームの完成を待つ機構を開発。これにより、AUGではない開始コドンを使った翻訳も可能に。(Yeasts: S.cerevisiae)
似たような非AUGの開始コドン機構ががん細胞で見られるらしく、一般の分子細胞生物学へアンテナを張っておく重要性も感じる。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
  • Cell-free biosensors for rapid detection of water contaminants
  • Authors: J.K. Jung, K.K. Alam, M.S. Verosloff, D.A. Capdevila, M. Desmau, P.R. Clauer, J.W. Lee, P.Q. Nguyen, P.A. Pastén, S.J. Matiasek, J.-F. Gaillard, D.P. Giedroc, J.J. Collins & Julius B. Lucks
  • Journal: Nature Biotechnology
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41587-020-0571-7
  • Institution: Northwestern, USA
Julius Lucksの無細胞系センサーの新作。T7-RNAポリメラーゼと、Brocolliアプタマーの系統の一つ(three-way junction dimeric Broccoli)を構成要素とする蛍光標識のテンプレートを提案し、このテンプレートにTFと対応する結合配列を導入することで少なくとも16種類のTFについて、そのリガンドとなる水質汚染原因物質を高感度で検出可能に。(cell-free: bacterial)

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
MerRによるHg+イオン誘導型の転写誘導でルシフェラーゼ(luxCDABE)カセットを発現し、ルシフェラーゼの青色光で細胞表面のpMagによる細胞凝集を活性化。(Bacteria: E.coli)
luxCDABEの発光量、波長でpMagの活性化が出来た点は割と驚き。発現量調節は必要だが、Cell-free系のセンサーで利用されているような他のTFリガンドに対しても応用出来そう。
かつてはcpGFPが使われていた、CalmodurinとRS20からなるCa+センサーの蛍光タンパクをmNeonGreenを用いることで、更なる性能(Ca+反応性、蛍光強度)の向上を可能に。(Mammalian cells: HeLa, Rat cortical neurons, hiPSC)
エンドソーム内側の糖鎖に特異的に結合するGalectin8とsplit-luciferaseをリンカーで繋いだG8G8システムにより、エンドソームの崩壊をluciferase発光で検出する機構を開発。(Mammalian cells: HEK293T)
エンドソームの崩壊というネガティブな出来事をポジティブに検出するアイデアが秀逸。
光によって可逆的にZE異性化を起こすシアノバクテリオクロム色素の一種を新たに発見し、これに変異を加える事で、400nmから600nmまでのそれぞれ異なる波長の光でZE異性化を起こす7種類の変異体を作成。(in vitro)
近赤外光(730nm)反応性のBphS(GTPをc-di-GMPに変換)、c-di-GMPによって二量体化&活性化するp65-V64-BlbD(人工TF)、split Cre-loxPリコンビナーゼを組み合わせ、近赤外光によるリコンビネーション誘導を実装し、生体マウスでの機能を実証。(Mammalian cells: HEK293T, hMSC-TERT, Live animals: BALB/c mice)
近赤外光を利用した生体マウスでのリコンビネーション誘導まで遂に来たかという感じ。

Protein Engineering

タンパク質工学
認識する塩基配列とは離れた配列への切断活性をもつ制限酵素を用いて、認識配列を含む配列カセットを作成。それを用いて、in-frameなInDelをランダムに引き起こしてInDel変異のライブラリを作成。
タンパク質工学におけるランダム変異の選択肢が増える画期的な手法。
プロリン合成の副経路にはたらくornithine aminotransferaseをdirected evolutionするに当たって、変異導入時に対象の配列のコドンを使用頻度の低いもの(rare codon)に入れ替える事で、細胞の成長度合いを全体的に低下させ、特に酵素活性の顕著なものを選出する手法を確立。(Bacteria: E.coli)
growthに関わるものだけでなく蛍光タンパクのdirected evolutionでも、進化の伸びが頭打ちになりかけた段階でこの方法を取り入れると効果的かも。
目的のタンパク質(chorismate mutase: 芳香族アミノ酸合成に関わる酵素)のホモログ配列のアライメントから計算した、各残基における尤度を元に、モンテカルロ標本を取得しwetでスクリーニングする事で、新規の酵素をデザイン。(Bacteria: E.coli)
こういう手法でスクリーニングの規模が抑えられれば、スタンダードになっていくのでは。

CRISPR/Cas

クリスパー系
菌類におけるCRISPRaを利用した遺伝子クラスター発現制御機構を樹立。(Fungi: A.nidulans)
ランダム配列の中からCRISPRの有効なモチーフを持つものだけがlacI転写を抑制できるようにしたものの下流に細胞生育に必須なxylABを配置する事によるターゲット配列のスクリーニング手法を用いて、SpyCas9の新たなターゲットモチーフ N(A/C/T)GG を同定。(Bacteria: E.coli, Mammalian cells: U2OS, HEK293T)

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
doxycycline依存性のβ-catenin活性調節機構を人工的に導入し、Wntシグナル経路とそれに続く肝細胞の分布を再現。(Mammalian cells: e-mHepB)
C.crescentusのキナーゼDivLのcoiled-coilモチーフにロイシンジッパーを融合させる事で、DivLが通常一方向にのみ伝えるキナーゼ活性シグナルを人為的なシグナルを用いて二方向に流す事に成功。(Bacteria: C.crescentus, E.coli)

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
20種類のtRNAを人工的に転写、合成し、人工合成したtRNAを用いてcell-free系でタンパク質の翻訳を実現。(in vitro)

DNA / Biophysics

DNA、核酸論理回路、ナノスケール構造物など
RNAのみを用いたRNA origamiを実装し、全ての構成要素が試験管内反応で合成可能に。(in vitro)
de novoデザインされたcoiled-coil構造と細菌(S.aureus)の棒状の膜タンパク(SasG)から成る、自己組織化する繊維構造を開発。(in vitro)
二本の腕を持つホモダイマーと四本の腕を持つホモテトラマーとが互いに相互作用し合って細胞質で格子状構造を取る機構を開発し、この構造の密度を用いて細胞における相分離を可視化する事に成功。(Yeasts: S.cerevisiae)
この構造体によって相分離の具合にどの程度変化が現れるのかは不明だが、相分離系の生物工学にとっては非常に大きな一歩。

Biochemistry

生化学系
生化学的な小分子センサー開発における二種類のアフィニティ調節方法(1:非結合状態のセンサーを別の立体構造に変性させる 2:非結合状態のセンサーをアロステリックに調節する)を確立し、DNA/RNAアプタマーを用いて実証。(in vitro)
タンパク質で出来れば理想的。

Bioinformatics

特に大腸菌のσ70プロモーターを対象に一定のデザインルールをクリアしたランダムな非反復配列をハイスループットに合成、転写活性を調べた結果について、配列のUMAPクラスタリング後の要素と実験的に得られた転写活性との相関から関連性を説明。また、酵母についても同様の手順で実験を行い、提出した非反復プロモーターデザインの汎用性を示した。(Bacteria: E.coli, Eucaryotes: S.cerevisiae)
各遺伝子配列をグラフによって説明している点が面白かった。配列をグラフで上手く示すことが出来れば精度の高いGCNの導入も可能かも。

General Biology / Biotechnology

in silicoでの遺伝子配列のデザインからタンパク質精製までを、cell-freeでのタンパク質発現(IVTTシステム)に最適化した線形DNAデザインを利用して完全自動化。
ランダムに生成したRBSを対象に、RBS下流の反転リコンビナーゼによるmCherry配列の反転度合いをNGSと蛍光測定によって極めて正確かつハイスループット定量化する手法を開発し、得られたデータでResNetの訓練を行ったRBSの発現強度予測ではR^2=0.927の結果を得た。(Bacteria: E.coli)
RBS以外の要素や、それらの組み合わせについても是非応用して欲しいところ。

合成生物学論文メモ (Jun 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
32報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
CRISPRiを制御因子に用いた種々の遺伝子回路(トグルスイッチ、フィードフォワード回路、振動回路)を実装。(Bacteria: E.coli)
古典的な転写抑制ではなく、CRISPRiがゲノム中でPAM配列探索を行うことによる実質的な酵素濃度の枯渇が抑制因子として機能している可能性があるとのこと。PAM配列編集とゲノム中の塩基の偏りを利用した抑制制御への可能性。
連続的directed evolutionを用いて、λファージのTFであるCroタンパクにアクティベーターとリプレッサーの両方の機能を持たせる事に成功し、最小のデュアル(活性抑制)TFを作成。(Bacteria: E.coli)
  • CRISPR artificial splicing factors Menghan
  • Authors: M. Du, N. Jillette, J.J. Zhu, S. Li & A.W. Cheng
  • Journal: Nature Communications
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41467-020-16806-4
  • Institution: The Jackson Laboratory for Genomic Medicine, USA
スプライシング因子(RBFOX1, RBM38)のRNA配列認識ドメインをdCas(dCasRx)で置き換えることで、配列特異的なスプライシング制御を実装。複数の配列をターゲットにしたpre-gRNAを導入することで同時に制御することも可能。(Mammalian cells: HEK293T)
dCas9またはsgRNAのプロモーターをLuxRで制御することで、Luxシステムを用いたCRISPRi制御機構を開発。プラスミド複製起点をdCas9のターゲットにして、細菌集団の制御を実装。(Bacteria: E.coli, P.putida)
バクテリアの二成分制御系(TCS)を哺乳細胞で再利用。ヒスチジンキナーゼのキナーゼドメインとnanobodyとの融合タンパクが、nanobodyのリガンドへの結合による二量体化とキナーゼ活性化を行い、活性化されたキナーゼがバクテリア由来の制御因子へリン酸基を転移することで制御因子を活性化。(Mammalian cells: HEK293T, HeLa, hMSC-TERT, hiPSC)

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
アプタマーにRNAもしくはssDNAから成るモチーフを組み込むことで、酸性条件下または塩基性条件下で特定の二次構造を取るよう制御を実現。(in vitro)
テトラサイクリン誘導性のONリボスイッチK12をAAVベクターに組み込むことで、生体マウスにおける可逆的で繰り返し誘導可能な遺伝子発現制御を実現。(Mammalian cells: HEK293T, HepG2: Mammals; C57Bl/6(mice))
真核生物のTPP(thiamine pyrophosphate)リボスイッチCrTHI4において構造・機能的に重要な配列部分を同定し、また、CrTHI4のアプタマー配列を他のTPPリボスイッチのアプタマー配列と挿げ替えることで構造/機能を保ったまま基質特異性を変化させることに成功。(Eukaryotes: Chlamydomonas strain UVM4)

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
cell lysateを用いた無細胞系タンパク発現において、lysateをつくる細胞株で種々の翻訳ファクターおよびアミノアシルtRNA合成酵素を過剰発現させることで、lysate中のプロテオームの発現量が平均的に減少し、無細胞系でのタンパク発現量を上昇させることに成功。(E.coli cell-free)

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
イカの細胞で光透過率を減少させるはたらきを持っているタンパク質(reflectin )を、HEK293Tで発現させ細胞の光透過率を低減することに成功。(Mammalian cells: HEK293T)
細胞の光学的特性を変化させる面白い試み。
  • Restoring light sensitivity using tunable near-infrared sensors
  • Authors: D. Nelidova, R.K. Morikawa, C.S. Cowan, Z. Raics, D. Goldblum, H.P.N. Scholl, T. Szikra, A. Szabo, D. Hillier & B. Roska
  • Journal: Science
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1126/science.aaz5887
  • Institution: Institute of Molecular and Clinical Ophthalmology Basel, Switzerland
近赤外光(~900nm)に共鳴して発熱する金のナノロッドと、温度感受性の電位発生チャネル(rTRPV1 or sTRPA1)とを組み合わせることで、近赤外光を利用した細胞膜電位の制御およびマウスの行動制御を実現。(Mammalian cells: HEK293T; Mammals: Pde6b{rd1} mice)
光反応性の脱離基を付加したグアニン(不活性状態ではG-Cペアを作れない)をリボザイムに導入し、smFRET(biotin-Sa5-Cy5)を用いて、リボザイムの活性状態を高い時空間分解能で可視化。(in vitro)
E.coliのSSBs(single-stranded DNA-binding proteins)において、適切な蛍光タンパク(GFP, mCherry, mTurquoise2)の挿入位置をトランスポゾンの挿入位置情報から模索し、機能を保ったままの蛍光レポーターを作成。(Bacteria: E.coli)

Protein Engineering

タンパク質工学
自然界に存在する分離型インテイン(VidaL-N and VidaL-C)の構造的特徴を分析し、哺乳類細胞内で分離型インテインを用いた翻訳後ヒストン修飾を実現。(in vitro; Mammalian cells: HEK293T)
リコンビナントタンパクを高エラーDNAポリメラーゼで複製する事で遺伝的多様性を増加させるシステム(OrthoRep)と、培養液ODをリアルタイムで測定することによる物理的な系統選別システム(eVOLVER)とを組み合わせた連続的directed evolution リコンビナントタンパクを高エラーDNAポリメラーゼで複製する事で遺伝的多様性を増加させるシステム(OrthoRep)と、培養液ODをリアルタイムで測定することによる物理的な系統選別システム(eVOLVER)とを組み合わせた連続的directed evolution. (Yeasts: S.cerevisiae)
ODの代わりに蛍光測定を用いれば、成育に関わる遺伝子以外にも蛍光タンパク、アプタマー、遺伝子発現/翻訳調節タンパクあたりは進化させられそう。
グルコースヒドロゲナーゼの機能をカルモジューリン/カルモジューリン結合タンパクを介してアロステリックに調節する人工タンパクを開発。(in vitro, Bacteria: E.coli)

CRISPR/Cas

クリスパー系
ヒト多能性幹細胞(hPSCs)に、小分子によって誘導されるCas9ベースのorthogonalなキルスイッチを導入することで、未分化細胞の選択的除去と全細胞除去を制御可能に。(Mammalian cells: hPSC)
  • Very fast CRISPR on demand
  • Authors: Y. Liu, R.S. Zou, S. He, Y. Nihongaki, X. Li, S. Razavi, B. Wu & T. Ha
  • Journal: Science
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1126/science.aay8204
  • Institution: Johns Hopkins University, USA
Cas9のDNAへの結合の一部をgRNA上でブロック(光照射によって離脱する分子を利用)し、光照射によって二本鎖切断反応の時空間的に高解像度(µm以下、secスケール)な制御を実装。(Mammalian cells: HEK293T)

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
E.coliで連続的な代謝を行う酵素araAとaraBについて、互いの発現がどのように関わり合っているかを定量的に解析し、得られた結果を元にr2>0.97のフィッティングでモデル化。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
リポソーム膜上にミトコンドリアの好気呼吸複合体(NADHの酸化による電子調達とH+の流入)、AOXオキシダーゼ(酸素の還元)、ATP合成酵素を配置し、NADHをエネルギー源にATPを合成する系を再構成。(in vitro)
ピロリジンtRNA/RSをベースに触媒部分をHis, Phe, Alaなどに置き換えることでorthogonalなtRNA/RSを導入することに成功した他、複数の非天然アミノ酸(Trp誘導体, Phe誘導体など)の導入も可能に。(Bacteria: E.coli, Mammalian cells: HEK293T)

DNA / Biophysics

DNA、核酸論理回路、ナノスケール構造物など
各辺に粘着末端を持つY字型のDNA2次構造(3本のDNAから成る)の溶液中で、温度依存(~62℃)で可逆的にコントロール可能なDNA液滴を形成することに成功。また、複数種類のY字型DNAや星型DNAを混ぜ合わせることで、異なる種類の液滴の共存、液滴の融合、分離、特定の分子の選択的な包摂を再現。

Bioinformatics

多層パーセプトロンを用いた超解像度顕微鏡画像データのオープンソースclassifierを開発。
既知のグリシンレセプターについて、立体構造とリガンド情報(対応するリガンドの結合部位、それらの情報から予測される潜在的なリガンド結合部位)をまとめたライブラリを作成。
潜在的な薬剤の発見を目的とした化合物のハイスループットスクリーニング手法における、データ品質のコントロールを複数の評価基準(古典的なQCパラメータZ’やSSMD、結果のばらつき度合いの統計的評価など)により厳密に実装。
RNA修飾データベース(H. Sapiens, M. mucus, S. cerevisiae)から、複数の修飾(m6A, m5C, m1A, ψ, A-to-I)をまとめて扱えるような特徴抽出を行い、XGboostによりRNA修飾座位の予測を実装。

General Biology / Biotechnology

  • Barcoded microbial system for high-resolution object provenance
  • Authors: J. Qian, Z. Lu, C.P. Mancuso, H.-Y. Jhuang, R.C. Barajas-Ornelas, S.A. Boswell, F.H. Ramírez-Guadiana, V. Jones, A. Sonti, K. Sedlack, L. Artzi, G. Jung, M. Arammash, M.E. Pettit, M. Melfi, L. Lyon, S.V. Owen, M. Baym, A.S. Khalil, P.A. Silver, D.Z. Rudner & M. Springer
  • Journal: Science
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1126/science.aba5584
  • Institution: Harvard Medical School, USA
DNAバーコーディングと環境で生育できないよう遺伝的にデザインされたB.subtilisとS.cerevisiaeの胞子と、バーコードを読み取るための遺伝子増幅およびシークエンシング手法を用いて、特定のエリアから外部へ運ばれた物体や足跡を約1時間でトレーシングできる技術を開発。
  • The ribotoxin α-sarcin can cleave the sarcin/ricin loop on late 60S pre-ribosomes
  • Authors: M. Olombrada, C. Pena, O. Rodrıguez-Galan, P. Klingauf-Nerurkar, D. Portugal-Calisto, M. Oborska-Oplova, M. Altvater, J.G. Gavilanes, A. Martınez-del-Pozo, J. de la Cruz, L. Garcıa-Ortega & V.G. Panse
  • Journal: Nucleic Acids Research
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1093/nar/gkaa315
  • Institution: Universidad Complutense de Madrid, Spain
リボヌクレアーゼの一種α-sarcinの分解作用が25S rRNAを含む成熟後期の60Sリボソームに対して選択的にはたらくことを解明。
マイクロアレイ上でのDNA断片合成、次世代seq、Sniperクローニング(次世代seqで配列を確認したDNAをPCR)を組み合わせ、無細胞系反応のみでファージゲノムを再構成することに成功。
DNA watermarking技術(人工的に導入する遺伝子にSNPsを加えることで、PCRを介して元の遺伝子との識別を可能にする)における効率的かつ転写や翻訳に影響を与えないSNPsのデザインを実装。(Yeast: S.cerevisiae)

合成生物学論文メモ (May 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
36報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
lacI遺伝子の欠失、変異をインプットに取るイベントカウンター回路を用いて、direct repeat deletion(DRD)の回数を定量化し、反復配列の長さおよび関連遺伝子(uvrD, radA)がDRDの頻度に与える影響を解析。(Bacteria: P. aeruginosa)
面白いアイデア
pET発現系において2つの問題点(1.プロモーター領域のT7ファージコンセンサス配列が欠けている 2.転写開始領域に非最適な改変が見られる)が広く蔓延していることを指摘し、これらを改善することでタンパク質発現量(sfGFP)が33-121倍まで増加することを実証。(Bacteria: E.coli)
酵母において、xylose誘導性TFであるXylRと活性ドメインVPRHとを融合したアクティベーターと、それに対応する人工プロモーターを用いてxyloseバイオセンサーを構築。(Yeast: Y. lipolytica, S.cerevisiae)
誘引物質xanthosineの細胞内輸送と分解によって制御される転写制御回路xapABR(XapA:xanthosineを分解, XapB:TF, XapR:膜状のxanthosine輸送タンパク)の動力学を実験とモデル(相転移解析、確率的シミュレーション)により解析。(Bacteria: E.coli)
電極からの電子によって酸化された酸化型pyocyaninが電子を供給することではたらくTF(SoxR)システムの下流に、CRISPR/Cas9によるシグナル増幅および整流回路を組み込むことで、電極に流す電流の大きさによって最下流のレポータータンパク質の発現量を時空間的に調節する機構を開発。(Bacteria: E.coli, S.enterica)
こいつはすごい
  • Genetic switches designed for eukaryotic cells and controlled by serine integrases
  • Authors: M.S. Gomide, T.T. Sales, L.R.C. Barros, C.G. Limia, M.A. de Oliveira, L.H. Florentino, L.M.G. Barros, M.L. Robledo, G.P.C. José, M.S.M. Almeida, R.N. Lima, S.K. Rehen, C. Lacorte, E.O. Melo, A.M. Murad, M.H. Bonamino, C.M. Coelho & E. Rech
  • Journal: Communications Biology
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s42003-020-0971-8
  • Institution: CENARGEN & University of Brasília, Brazil
E.coliで実装されていたIntegraseシステム(Int2,4,5,7,9,13)を真核生物の細胞で実装、(Mammalian cells: HEK293T, Bovine fibroblast, human PMBC, hEC; Plant cells: A.thaliana protoplast)

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
文献で報告されているアプタマーの中から同一のタンパク質に対してorthogonalに結合可能なアプタマーペアを特定し、一方を基質に固定しもう片方をAgNPに結合させることで、高感度かつ低ノイズなimmunoassay手法を開発。

Protein Engineering

タンパク質工学
ラクトーススクロースのチャネルタンパク質(LacY, CscB)において、膜脂質の構成要素(phosphatidylethanolamine, phosphatidylcholine)の違いによってタンパク質の構造や機能に変化が出ることを証明。(Bacteria: E.coli)

CRISPR/Cas

クリスパー系
Cas9活性に伴う細胞死を目安に活性の定量化を行い、ターゲットのゲノム中での座標、Cas9プロモーター強度、細胞の生育環境の少なくとも3要因がCas9活性に影響することを実証。(Bacteria: E.coli)
  • A Cas9 with PAM recognition for adenine dinucleotides
  • Authors: P. Chatterjee, J. Lee, L. Nip, S.R.T. Koseki, E. Tysinger, E.J. Sontheimer, J.M. Jacobson & N. Jakimo
  • Journal: Nature Communications
  • Year: 2020
  • DOI: s41467-020-16117-8
  • Institution: Center for Bits and Atoms, USA
5'-NAAN-3'の全16種類のPAM配列をターゲットに高い活性と特異性を示す新たなCas9(iSpyMac)を発見、開発。
CRIPSR配列のクローニングを高効率に一度のアセンブリで可能にする手法の開発。
  • Machine learning predicts new anti-CRISPR proteins
  • Authors: S. Eitzinger, A. Asif, K.E. Watters, A.T. Iavarone, G.J. Knott, J.A. Doudna & F.A.A. Minhas
  • Journal: Nucleic Acids Research
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1093/nar/gkaa219
  • Institution: UC Berkeley, USA; Pakistan Institute of Engineering and Applied Sciences, Pakistan
既存のArcsのアミノ酸配列情報を元に学習させたXGBoostモデルを用いて、SpyCas9を阻害するArcsをStreptococcusゲノムから同定し、生化学的に検証。
422-603残基のアミノ酸から成る比較的小さな10種類のCas12fヌクレアーゼに対し、PAM配列依存のターゲットdsDNA切断を実装。
CRISPR/Casシステムのオフターゲット活性を調べる手法として、dCasの結合特異性シーケンス(Spec-seq)とCasのエンドヌクレアーゼ活性シーケンス(SEAM-seq)からオフターゲット配列を解析。(in vitro)
従来のqPCRによる検出方法に比べて簡便かつ高感度(~1aM, 100倍程度)な細菌(E.coli O157:H7, S.aureus)検出手法の開発。細菌のゲノム中からRPA(recombinase polymerase amplification)によりターゲット領域を増幅し、それをターゲットにとるCas12aによりssDNA-FQを切断することで蛍光を検出。(in vitro)

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
代謝におけるフマル酸からアスパラギン酸、β-アラニンを合成する経路を通じて、E.coli内でアクリル酸を人工合成する経路を開発。(Bacteria: E.coli)
L-チロシン代謝経路における酸化反応で発生する電子の流れを、金イオン電極によって電流として解釈する機構を、代謝開始物質(L-チロシン)を産生する株と代謝酵素(チロシナーゼ)を産生する株の二種類のE.coli株を共培養することで、有毒な誘導物質無しに起こすことに成功。(Bacteria: E.coli)
マロニルCoAを抑制因子にしたフィードバック回路および、その回路を用いたマロニルCoA合成量の振動回路の構築(Yeast: K. phaffii)
マイクロ流路において物理的に仕切られた二種類の細胞集団間での生体分子のやりとりを解析し、QSシステムや代謝産物の交換における集団としての発現形質が時空間的パラメータによってどのように変化するかを分析。(Bacteria: E.coli)
物理的な仕切りを利用した段階的な代謝反応や回路構築への応用が出来そう。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
単離したチラコイド膜とCO2固定化に関わる一連の酵素群をin vitroで反応させることで葉緑体の擬似的な炭素固定システムを構築し、更にそれをマイクロ流路上で形成した油膜中に封入することで擬似葉緑体を作成。

DNA / Biophysics

DNA、核酸論理回路、ナノスケール構造物など
検体数に制限のある哺乳類で腸内細菌叢のエンジニアリングを行うにあたって、DNAバーコードを施したE.coliを用いて複数のコンストラクトを同時に調べる手法を開発。
三角形のDNAオリガミの構造を、分子動態シミュレーションとローカルなエンドヌクレアーゼ活性のデータから解析。

Biochemistry

生化学系
正負それぞれに帯電させたGFP(GFP-30, GFP+36)と正負それぞれに帯電したタグを付加したmCherryを用いてタンパク質精製を行うことで、GFPをハブとしてmCherryが間を架橋する自己組織化タンパク質複合体を合成。結晶を生じるほどの相互作用。(in vitro)

Computational Biology

細胞骨格形成において、Arp2/3複合体がアクチン重合時に起こる細胞の収縮速度を制御するはたらきをしていることを、アクチン重合のシミュレーション(MEDYAN)により定量的に実証、評価。
B.subtilisにおいて青色光照射によって誘導されるカチオンの膜間輸送量の変化を利用して、バイオフィルム内で膜電位のメモリ機構をモデル化、実装。(Bacteira: B.subtilis)
筆者らが導入したintegrative circuit-host modling frameworkを用いて、遺伝子回路の相転移に関わる具体的な環境変数とその動態を解明。

Bioinformatics

ヒト細胞に用いるCRISPR/Cas9のsgRNAデザインのためのモデルを。XGBoostとSVMの結果をロジスティック回帰によって一つの結果に合成。
マルコフ連鎖を用いて隣接する塩基配列の情報を取り入れたTFモチーフ予測モデル。他にも、モノマーTFのモデルをダイマーへと拡張することで、ダイマーTFモチーフも予測可能に。
生理条件下におけるアミノ酸残基の電荷と極性を考慮に入れ、アミノ酸配列情報のみからタンパク質が正常な機能タンパクか折り畳みに異常のある変異タンパクかを予測するアルゴリズムを開発。
RNA-seqのシミュレーションデータ生成において、従来の理論モデルを元に計算を行う方法ではなく、実際のRNA-seqデータに人為的にシグナルを加えることで現実的なデータ生成を実現。
両生類ミトコンドリアゲノム中の短い反復配列(5-30bp)を網羅的に解析、同定。
アポトーシス関連タンパクの細胞内の分布位置を予測。既知のタンパクに関してコンセンサス配列に基づく遷移行列と配列のエントロピー比較により特徴抽出を行い、LDAによる次元削減後SVMで予測。

General Biology

バクテリアTFの進化生物学的解析から、適応初期段階ではTFの多様性が増大していく一方で初期段階を過ぎると進化圧を受けて変異速度が低下していくことを解明。