Synbio, Bioengineering, Bioinfomatics関連の研究について書いたりするかもしれません。

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合成生物学論文メモ (Feb 2020)

読み流した論文のメモ。黒色はメモ、緑色は感想、赤色は特に面白いと思ったもの。
29報

Synthetic Biology

Transcription/Translation Control

遺伝子回路、転写翻訳制御など
Zincフィンガーとactivatorドメインを組み合わせたTF、デザインされたプロモーター、プロモーター上流配列から成る発現量チューニングツールボックス。(Mammlian:HEK293T)
3'UTRに添加したRNAのstem loop構造と、それに結合して5'側のcoding領域を抑制するCapsid-cNOT7を用いたmRNA回路ツール。(Mammalian: BHK21)
イントロの文献リストが良い。これまでの主な遺伝子回路をRNA回路で実装しているのも良い。
rapamycin誘導型と青色光誘導型それぞれのsplit-TEVプロテアーゼの反応モデルから、2-input論理回路の反応条件を最適化。(Bacterial: E.coli)
モデルベースの実験デザインで良い。

RNA Synthetic Biology

アプタマー、リボザイムなど
哺乳類細胞におけるアプタザイムのハイスループットスクリーニングプラットフォーム。アプタマーとリボザイムの架橋部分をランダム配列にしてハイスループット化。(Mammalian: HEK293T, HELA)
お金ありそう。
Toehold switchの超改良版、ターゲット配列の1塩基多型、1塩基変異を識別可能なRNAswitch(SNIPR)の開発。(Bacterial: E.coli, Cell-free: Bacterial)
立体構造の自由エネルギーベースのRNAswitchで塩基レベルの識別能は凄過ぎ。

Cell-free / Reconstruction

無細胞系、再構成など
in vivoでは難しいリボソームrRNAのdirected evolutionをCell-free系で開発。(Cell-free: bacterial)
Jewett Labのcell-free系の強みがふんだんに活かされている。
Cell-freeではたらくようにデザインしたビタミンB12センサー系をE.coliに遺伝子回路として組み込み、より高い感度を示す全細胞センサーを開発。(Bacterial: E.coli, Cell-free: Bacterial)
in vitroでの自己DNA複製機構の開発、改善。
脂質膜に膜孔を形成する膜タンパク質と阻害剤の最適化による、OR/AND論理ゲート。

Optogenetics

光駆動型ツール、蛍光イメージング、光受容体など、その他〇〇genetics系
LOV2ドメインを組み合わせたチロシンフォスファターゼ1Bの青色光による活性制御。(Bacterial: E.coli)
mRNAの局在化と翻訳のoptogenetic制御ツール開発。(Mammalian: HELA, NIH3T3)
mRNA局在のコントロールは強い。
split-Creリコンビナーゼを開発し、VVDと組み合わせることで、E.coliではたらく青色光駆動型のリコンビナーゼを開発。(Bacterial: E.coli)

Protein Engineering

タンパク質工学
  • Chemogenetic Control of Nanobodies
  • Authors: H. Farrants, M. Tarnawski, T.G. Müller, S. Otsuka, J. Hiblot, B. Koch, M. Kueblbeck, H. Kräusslich, J. Ellenberg & K. Johnsson
  • Journal: Nature Methods
  • Year: 2020
  • DOI: 10.1038/s41592-020-0746-7
  • Institution: Max Planck Institute & European Molecular Biology Laboratory, Germany
ナノボディのリガンドによるON/OFFコントロール機構の開発。(Bacterial: E.coli, in vitro)
4本のαヘリックスからなる構造体タンパクの安定性を改善。(Bacterial: E.coli, in vitro)
赤血球を刺激するリガンドであるerythropoietinを、赤血球膜に広く発現するGPAへの抗体と架橋することで、erythropoietinのターゲット特異性を向上させるAND-gateリガンドデザイン。(Mammalian: A2780, MCF-7, mouse)
coiled-coilベースのヘテロテトラマーのde novo設計と、設計したテトラマーによるプロモーター制御の実装。(Bacterial: E.coli)

CRISPR/Cas

クリスパー系
近赤外光(1064nm)による局所的な熱駆動型のCas9トランスフェクション&遺伝子発現制御システム。(Mammalian: HEK293T)
熱駆動のものをoptogeneticと呼ぶのはミスリードな気もするが、それはそれとして近赤外光駆動のタンパクを使えれば本格的なoptogenetic制御も可能に。
CRISPR-Cas9システムにAcrIIA4を自己抑制ドメインとして架橋することで、target specificityの高い編集ツールを開発。(Mammalian: HEK293T, HeLa)

Metabolic/Signal Pathway Engineering

シグナル経路、代謝経路、酵素工学など
EsaI/EsaRのクオラムセンシングシステムを利用した、大腸菌集団の二元的な代謝コントロール。(Bacterial: E.coli)
イントロでQSベースの代謝工学について色々まとめられている。モデルを用いた時間的コントロールに関する定量的な議論があればより良かった。

DNA / Biophysics

DNA、核酸論理回路、ナノスケール構造物など
自己切断活性を持つssDNAをmRNAからの逆転写で合成する事で、in vivoでssDNA断片を生成し、DNAナノ構造を作る技術を開発。
DNAの回路系とナノ構造系との融合という感じで面白い。
固体表面で一本鎖DNAの伸長反応を行うことに成功。
RNA-DNA、TNA-DNAのハイブリダイゼーションにおける、ピリミジン/プリン比の影響を1分子イメージングにより解析。

Bioinformatics

二分木構造のアンサンブル学習を応用したDrug-target予測。

General Biology

リボソームrRNAの翻訳中心(PTC: peptydil transferase center)における変異の影響に関する解析。
bimolecular YFPを用いて、リボソームと近傍のタンパク質との相互作用をイメージングにより定量化。
定常発現すると考えられていたE.coliの鞭毛生成遺伝子が確率的なパルス状の発現によって制御されていることを証明。
CRISPR-Cas9を用いて、E.coliのTCSs(Two-component Systems)をノックアウトすると、進化適応力が低下することを発見。
自動化マシンとコンピュータでの制御・スクリーニングによる物理的なハイスループットプラットフォーム。